餘部鉄橋を遺す意味
城崎温泉から日本海の海岸沿いにウミヘビのようにウネウネと鳥取方面に向かって、一度山の中に入って再度海に近づいてくると、この橋が見えてきます。
左手に見える、「長谷川」が長い時間をかけて丘陵を侵食して作ったV字谷に、山陰本線餘部鉄橋は架かっています。
遠くから見た姿も、如何にも歴史を感じさせる威容を誇っています。
昨今、山中で自動車や列車の窓から、突然コンクリート製の白い高速道路の橋脚を見せつけられることがあります。
橋自体は基本的に美しいものですから、全否定はしませんが、ガッカリさせられることも多いものです。
しかし、この橋にはオーラのようなものを感じさせる緊張感があり、見て良かったという気持ちを起こしてくれます。
自然界には基本的に存在しない直線の構成で、風景にインパクト与えない微妙なバランスを得ています。
真下から見る橋脚の鉄骨が積み重なって立体感が強まる様に、私居酒屋コーチの背中はゾクゾクっとしました。
ちなみに、R178は長谷川沿いに日本海に向かい、直角に餘部鉄橋と交叉し左に曲がり、徐々に山陰本線と近づいて、浜坂温泉まで並行していきます。
20年前の12月28日回送列車の客車が、強風に煽られ橋の下のカニ加工場に落下し、死傷事故が起きました。
それ以降、風に対する走行基準を下げて運用し、以降の事故は発生していません。
その前にも事故は起きていませんので、後にも先にも唯一の事故です。
にも関わらず、JR西日本はコンクリート橋に架け替える工事を来春から始めるとのことです。
風による遅延以外にも、建設後90年以上も経ち維持費が嵩むとの理由だそうです。
JR西日本が、福知山線の事故に懲りずまだ定時性に固執する理由が、居酒屋コーチには理解できません。
恐らく、相変わらず、幹部は現場を行って現状を見ずに、橋の古さや維持費の金額そして遅延率などの数字ばかり見て判断しているのでしょう。
3現主義が全くないがしろにされているのです。
実際に自らの目で餘部鉄橋を間近で見て、自分の耳で住民や鉄道ファンの声を聞く姿勢をとるべきです。
単純に比較するのは無理があるかもしれませんが、JR東日本の五能線が人気があるのかも確認すべきです。
このままでは、どんどんJR西日本から鉄道の旅好きなお客さまが離れていくでしょう。
その結果がどうなるかは、様々の業種の企業で多くの前例があります。
また、JR西日本は、本気でお客さまの立場に立った経営に切り替えなければ、国土の荒廃を助長した犯人の一人として歴史に名を残すことになるでしょう。
逆に、一所懸命に歴史を遺していく企業姿勢は、必ず見るものの心を打ちます。
JR西日本には、梅小路機関区のようなものがあるではありませんか(有料で採算が取れるという理由ではないはずです)。
今からでも遅くはありません、血の滲むような努力を払ってでも餘部鉄橋を遺すべきです。
お客さまのロイヤルティを高める策こそが、将来に亘って企業として存続できるか否かの鍵なのですから。

コメント