« 丑の日 | トップページ | なるほど »

2008年7月29日 (火曜日)

正しく名コーチ

Takabatake

「甲子園への遺言」-伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯-を読みました。

年初にNHKのドラマ「フルスイング」で感動したので、原作を読んでみたいと思っていて、漸く図書館から借りることが出来たのです。

ドラマでは、高橋克実が心の大きな主人公役を好演して印象的で、高橋克実という俳優を見直しました。

書はプロ野球の打撃コーチであった高畠氏について、彼に関わった方々からの取材によるノンフィクションです。

高校・社会人・大学と活躍した彼は中央大学から南海に鳴り物入りで入団しますが、1年目のキャンプでの怪我で代打生活を余儀なくされ、僅か28歳にして打撃コーチとしての裏方に回ることになります。

当時の南海ホークスは現楽天監督の野村克也がプレーイングマネージャーとして活躍していた時代で、その野村に見込まれコーチとしての道を歩むことになったのです(野村再生工場の裏方を担ったわけです)。

その指導法は独特で、選手一人ひとりに合わせたオリジナルの練習法を編み出し、いわゆる二人三脚で取り組みます。

また、打撃コーチとして自分のイメージ通りに選手を育てようとするのではなく、選手がコーチに指導を希望した時からその選手に合わせた独特のトレーニングを始めるというスタイルを貫きました。

つまり、その選手が伸びようとする意欲を、常に盛り立てるように盛り立てるように褒めながら指導を重ねました。

彼と一緒に取り組んだ選手には首位打者に輝くなど名が輝く選手も少なくありません。

南海を始めとして多くの球団に請われて打撃コーチを務めましたが、ある時高校の教師になろう(そして高校生をコーチしよう)と通信教育を始めます。

元来、家に帰っても頭の中は選手の育成のことで忙しい方でしたから、新たに通信教育に時間を割くのは大変なことだったようです。

そして晴れて59歳にして、教壇に立つのですが…。

高畠氏のスタイルは正しくコーチのお手本でした。

教えない、型に嵌めない、怒らない、褒めることで、本来持っているその選手の能力を見事に引き出すのです。

彼は打撃センスも抜群で独自の打撃理論を持っていたようなので、上述のようなスタイルを押し通すには余程の強い意志があったと思われます。

この書ではそういう言動を貫き通せた根源になったものが何であり、それを育んだのは何であったかについてまでは記述していません。

そこまで掘り下げてくれたら、高畠導宏という男がもっと泥臭く立体化され彼の思いが伝わって来て感動に満ち溢れたと思うのですが。

そこまでの記述がなく、コーチされた選手側の視点が中心になってしまっている点が残念なところです。

« 丑の日 | トップページ | なるほど »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/86359/22638638

この記事へのトラックバック一覧です: 正しく名コーチ:

» 原子力潜水艦シービュー号 [アメリカテレビ映画・テレビドラマ ふぉーえばー]
SF映画「地球の危機」をテレビドラマ化したもので、2基の原子炉を持ち、最大水中速力108ノット、最大潜航能力2,000m、艦首部分には小型の飛行型潜航艇(フライングサブ)が収められているという、夢の潜水艦が大活躍するSF冒険ドラマ [続きを読む]

» 原子力潜水艦シービュー号 [アメリカテレビ映画・テレビドラマ ふぉーえばー]
SF映画「地球の危機」をテレビドラマ化したもので、2基の原子炉を持ち、最大水中速力108ノット、最大潜航能力2,000m、艦首部分には小型の飛行型潜航艇(フライングサブ)が収められているという、夢の潜水艦が大活躍するSF冒険ドラマ [続きを読む]

« 丑の日 | トップページ | なるほど »

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のトラックバック